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January February March April May June July August September October November December
2011(Mon) 21:19

『約束の花』空様に捧ぐ。/六周年記念リクエストSS

小説

ひ、ひっさびさすぎて怒られそうなんですが、漸くできました。
すみません。空さん。

去年いただいたリクエスト。今頃あげました。
と、とりあえずどうぞ~~:(;゙゚'ω゚'):




 初夏の蒸し暑さを感じさせる風の湿ったさに顔を歪め、彼は一心不乱に庭いじりをしている青年――実は、少女――にそっと声をかけた。
「何故、貴女様がそのようなことを」
 あたりを憚りながら野良作業をする衣服に身を包つむ主上を慮り、声も小さい。
 そんな彼の気遣いなど全く意に介さない彼の主たる青年――何度も言うようだが、彼女は「少女」――は、くっと威勢の良い笑みを浮かべた。
 それは、彼よりも余程「漢らしい」笑いで、彼が思わず見惚れてしまう程の威力を持っていた。

「馬鹿《うましか》なのか、お前。この花を他人に世話させたら意味ないだろうが」

 青年――少女の言葉に、眉根を潜めて、本当にわからないという顔で彼は尋ねた。

「何故なんです?」

 その言葉を聞いた少女の形相たるや、見物であった。
 鬼や般若もかくもや。
 初夏の湿った暖かさに包まれた空気が、一気に極寒の冬の最中に突き落とされ、かと思うと一気に沸点に到達した地獄の釜から吹き荒れる蒸気さながらの熱風が彼を包んだ。
 春、夏、秋、冬。
 そのいずれの気候の庭院を作ることが可能な金波宮の中で、きっちり城下の気候と同じ初夏の暦を反映している小さな庭院は、常世の冬場でも夏の花を彩ることが可能なハウス栽培さながらの狂った気候に変わってしまった。

「お前がそれを言うのか景麒ぃぃぃぃ!」

 少女である彼の主――「主上」についての何か重要なことを忘れてしまうという、あり得ないことをしてしまっていることを認識した景麒と呼ばれたひょろ長い身長の男は、慌てて取りなそうとして、少女が渾身の力を込めて振りかぶった――教科書に載せたいような見事な投球フォーム――真っ直ぐ《ストレート》に投げた肥料の混ざった柔らかかったはずの土の塊を顔面で受け、昏倒した。

 景麒ーーー!という悲鳴が女怪やら使令から聞こえるのだが、少女に常に付従う冗祐と班渠はクスリと笑うとそっと囁く。
≪その辺にしておいて頂けませんか、陽子さま≫
 意図的に「主上」という言葉を、彼女の御名たる陽子と親しく呼び、諫めてみる。
 だが、怒りが収まらない彼女は、くっと歯を食いしばって彼女が世話をしていた小さな蕾をつけた花花を見やる。

「アイツが謝らない限り、今回は許さないからな」

 景麒が自分の何が至らないかを理解したならば、許そうという言葉と変わりは無いのだが、ここが彼女が譲歩できる最大限であると理解している使令たちはそっと伏礼して≪御意に≫と答えた。
 伏礼をされることが大嫌いな陽子の前でわざわざそのような礼をしてきたことが、使令たちも今回は自分の主たる景麒が悪いと思っているのだ。
 使令たちは、決して「いつも景麒から謝っているのに……」とは、言わなかった。

「景麒の馬鹿《ばか》っ」

 ぽそっと小さくこぼれた罵声に、如何に彼女が傷ついているかを悟った使令たちは「これは長引くかもしれない」と、主の不憫をそっと嘆いた。


『約束の花』


 崇高美、究極の美、または神秘という意味の花言葉を持つ花車《ガーベラ》は、七月の花だ。
 占いに興味のある蓬莱の女子高生などにしてみれば、花車《ガーベラ》は十月の誕生花というだろう。
 しかし、春から秋まで咲き誇るこの花の見ごろは三月から七月のことで、初夏の今頃が一番綺麗なのだ。
 そう、景麒の主たる陽子が蓬莱から帰還し、予王の妹である舒栄を打ち破った七月の花である。
 年初めに浚うように蓬莱から常世へと陽子を連れてきて、勝手に失望して、そしてその手を放した。次に景麒が彼女を見たとき、花車《ガーベラ》の花言葉が似合うような神秘性を秘めた凛々しい女王として彼の前に現れた。
 花言葉から人々は景麒を連想するのだが、それは違う。
 泥を啜って逞しく成長した、陽子の事なのだ。
 王だけが実らせることができる里木からこの花の種が実ったとき、その花言葉を聞いた景麒はすぐに主上である陽子を連想した。
 一目で気に入った花に、人々は「これは景麒が好きな花」として認識したが、そうではない。
 『景麒が陽子を連想して好きになった花』が正しいのだ。
 まるで、自分自身を慈しむかのように花車《ガーベラ》を育成する姿は、民草のことばかり気にして自身を後回しにしてしまう陽子が、自分も大切にしているかのように思え、景麒はとても驚いたのだ。

 そして、だからこそ、受け答えを大いに間違えてしまったのである。
 後で庭院の脇にある四阿で目が覚めて、すべてを思い出すと、思わず低く唸った。
 ――あれでは、主上が怒られても仕方がありませんね。
 土塊は女怪である芥瑚がふき取り、介抱してくれたようだ。
 心配そうに見つめる芥瑚に短く礼を言い、近くに潜んでいる驃騎を呼び出す。
≪およびですか≫
「主上はどちらだ」
≪班渠がお傍におります≫
「――……ご機嫌は?」
 その言葉に初めて驃騎はちらりと主を見やる。そこには豹の顔に笑いが張り付けられている。
≪冢宰も癒し担当である蘭桂どのもお困りの様子。――最悪でございます≫
 軽い笑いを含んだ声で答えられ、景麒は「余計な事は言わぬで良い」と窘めるが、常にも増して眉間に皺が寄っている。
 ほうっと深く息を吐き、驃騎にいう。
「先触れを。景麒がお会いしたいと申し上げよ」
 大丈夫かなぁ?という優しい使令の視線をぴしゃりとやり込め、景麒は立ち上がった。

 会いに行く途中で、自分の庭院から何種類かの花々で作り上げた小花束《ブーケ》を拵えて。
 ご機嫌取りに、花を利用するとはこしゃくなっ!などと言って怒られそうだが、おそらく大丈夫だろう。
 ようは、景麒が陽子との約束を覚えていればこんなことにはならなかったのである。
 白百合、鉄線《クレチマス》、年中咲き誇る露草、撫子から作られたそれは、花言葉も相まって、溜飲を下げてくれるのではないかと期待した。

 事実、そっと謝罪に出向いた景麒が手渡した花々を見て、呆れたように笑った陽子は、ぼそっとつぶやく。
「……なんだって、ここまで覚えていて、さっき忘れていたんだよ」
「初夏の陽気に当てられたとしか思えません」
「――良い言い訳だな」
 花を愛でながらの苦言は、笑顔と共に。
 麒麟を喜ばせる言葉でしか無かった。

***

「台輔は、なぜあの花を選んだのです?」
 ご機嫌取りに悪戦苦闘した冢宰から疑問に、景麒はかたり、と小首を傾げる。
「ああ、あれは――」
 浩瀚が知らない、陽子がこちらに来てから初めて成した景麒救出劇に関する事で、捕らわれの身で何もできなかった景麒が陽子の成長を目の当たりにした出来事だった。
 その感謝を示す花々であるのだが、何時もやりこめられることの多い彼は、有能な冢宰である浩瀚に、今回だけは秘密にしようと思った。
「威厳と美しき高潔さ、可憐でありつつ変わらぬ尊敬の念を込めて――という所でしょうか?」
 珍しく口角を上げている景麒に驚き、浩瀚は彼がその場から離れて、遠く豆粒ほどの姿になるまで珍しいことに放心していたのだ。

「ああ、あの『花言葉』は――」

 彼も主上から教わった蓬莱の花言葉の中にあったはず。
 そして――それが、七月の花言葉であったことを理解して、くすりと笑みをこぼした。

「次は、我々の害にならないようにして頂きませんとね」

 おそらく浩瀚のつぶやきは、金波宮の住民の総意であろう。
 少しずつ歩み寄る、前女王とは違う主従関係を作ろうとしている麒麟と若い女王の今後を願い、浩瀚は景麒の大切な約束を暴こうとはしなかった。

 七月の名花を添えて、貴女に思いを――。

《終劇》

This fanfiction is written by Ryoku.





という事でラストのリクエストです。
以下このようなリクエストをいただきました。

1 空(くう)様
2 十二国記
3 浩瀚と陽子さんがだめなら、景麒と陽子さんでお願いいたします。
4 さっぱりほのぼので、できれば使令さんたちを出していただけると幸いです。もし、もう少し場面設定があったほうがよければ、6~7月でなにか植物を入れていただけるとうれしいです。作物でも道端の草でもなんでもOKです。



景麒さんと陽子さんのドタバタ。最後に出来る冢宰浩瀚を連れてきましたww
七月の植物って色々あるんですねー。
花言葉を漁るのが凄く楽しかったです。

上記SSは空さまのみお持ち返りokです!
この度はリクエストありがとうございました。
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January February March April May June July August September October November December
2011(Tue) 23:51

他人の煽て方

小説

昨日は久々にサマーウォーズのサイトから感想をいただけました。
あまりに嬉しい感想に、ひっさびさに火が付きましたw

>web拍手れす
>18日22:11 の方
嵌るのに時期なんて関係ないですよっ!
どちらから来られたかは存じませんが、ようこそお越しくださいました!
最終更新日……あれ?一応去年も書いているんですけど…「共振」っていう短編。
ブログは本家と一緒に併用というか、今はこちらしか更新していない状態ですね。すみません。
アニメ感想ブログになっちゃいますが、たまにちょこちょこといろんなところを更新しています。
ほかも気に入られた良いなぁとか、思うのですが…(; ・`д・´)…ゴクリ…(`・д´・ ;)


ということで、焚き付けられたので書いてみた。





“Classic”

 黒板にカリカリと速記で書いていく数字が魔法の呪文に見えた。
 茫洋とした視線、ここではない『どこか』『何か』を見て考えている視線。
 0と1から9の数字を使って繰り広げる彼の世界を垣間見えるのは、隣で皮肉気に笑っている彼のメガネをしている親友だけだろう。
 それでもその一端しか解らないに違いない。
 彼が見ている景色は、少年――青年になりかけの揺らぎの中にいる数学馬鹿――の見ている景色に似ているようで、違う。少年が踏みしめる土台を作り上げるか、または得た答えから更なる景色を作り出す手腕を見据えているのだ。
 何のきっかけでその高速記述を垣間見たかは忘れたが、その少年の冷徹な視線だけはよく覚えていた。
 彼を知っている先輩に聞くと、「前から凄かったけど、去年の一件があってからさらに凄味が増した」とのことだ。
 
 ――二度目は、無い。

 背中から感じた意気込みは、そう見て取れた。
 そして、それだけ真剣だったので、次の瞬間不意を突かれた。
 風がざぁっと教室の中を駆け抜け、奇妙な熱気に籠った教室の空気を換えたかと思うと、さわやかな声が響く。
「なーに?まだ終わらないの?」
 制服の群れの中で、すっと立つ、白と青のマリンスタイルのワンピースを着た女性は目立った。
 かりっという音は、チョークの欠けた音だろう。
 数字の羅列を書き終えた少年は、振り向く。そして、女性を見て溶けるような笑みを浮かべた。
「いいえ、あとは佐久間に任せるだけです」
 私に微笑みかけたわけじゃないのが、なぜだかすごく悔しくなった。
 そして、その笑みを浮かべさせられるのも自分でないことが、無性に切なくなった。

 隣にいる友人に聞いてみた。
 あれは、誰なのか、と。
 彼女はきっちり間違えることなく、「小磯健二先輩とその『恋人』の、卒業生の篠原夏希先輩よ」と答えた。
 小磯先輩の隣にいたメガネの「佐久間」先輩が、ちらりとこちらを見て、「あ~あ」という顔をしたのには気づかなかった。

 どうやら私は、世間一般的にいう、「ひとめぼれ」をしていたらしい。

 らしい――という伝聞なのは、私が最後まで認めなかったからだ。残念なことに。

* * *

「はぁぁ!?あんた、ウチの学校にいる(た)三大傑物を知らないのおぉ!?」
 仰々しい単語を言った友人に、容赦なく「あん(うん)」と口にものを入れたまま答えると、友人である彼女はゆっさゆっさと私を揺らしながら、さらに続ける。揺れる視界が、気持ち悪いです。
「あんた、いくらうちらが今年入った一年生だからって、それはないよっ!世間一般の常識よ?!周辺校集めての美女と名高い篠原先輩も知らないの?あんた、もぐりよ!もぐり過ぎてもう一度高校受験からやり直しなさい~~!」
 そんな三大傑物とやらの問題まで出るかよ――などという疑問は言わせてくれるわけも無く、「えへー」と笑っておく。
「佐久間先輩は、『ラブマシーン襲撃事件』の解決を担った優秀なプログラマーよ。篠原先輩がラブマシーンを倒したアバタ―の持ち主っていうのは……今知ったのね。分かった。もう話を区切るな。で、どこまで言ったっけ?あ、そうそう最後の花札ステージを作り上げたのも佐久間先輩よ。もちろんほかにも協力者がいたんでしょうけど、主任設計士っていうんだっけ?そんなことしていたらしいのよ。え、なんでそんなこと知っているって……あんた、OZで何を見て来たのよ、この一年ーーー!」
 肝心な小磯先輩の件を聞く前に、友人を怒らせてしまった。
 慌てて私は続きを彼女に促した。
「で、小磯先輩は、(仮)ケンジのマスターよ。最初にその優秀な頭脳のせいでOZを混乱に陥れたラブマシーンに目をつけられ、そして最後にキング・カズマを引っ張り出して、崩壊の引導を渡すコードを導き出した『今年』の数学オリンピックチャンピオン」
 つらつらと私の知らない情報を紡ぎだす友人に、思わず言ってしまった。
「由比ちゃんよくそこまで知っているねー」
 ぽへーっと口にした私に、由比は「はぁぁぁぁぁ」と深い、海溝並みの深さの溜息をついて、私をぎゅううっと抱きしめた。
「悪いことは言わないよ、晶ちゃん。小磯先輩は無理よ。あの人は一級品。自分で原石を削り出して、磨いて、輝かせて、ウチのマドンナを射止めたんだから」
 由比は晶の思い人を、佐久間先輩でなく、すぐに小磯健二であると断定した。
「――……なんで?」
 ちょっと泣きそうな顔で言ったかもしれない。顔をへちょっと挟み込んで、額と額を合わせる。
「隣にいて、分からいでか」
「――…………違うもん」
 往生際悪い晶の答えに、由比は怒るでもなく、優しく肩をすくめると、もう一度ギュッと抱きしめた。

* * *

「おー、おー。この小悪魔少年が」
 後ろ体重で椅子に腰かけながら、牛乳パックをちゅーちゅーと啜りながら佐久間は隣で絶賛バイト中の親友をからかう。
「なにが?」
 カタカタとキーボードを叩く指の進みに迷いはない。
 あの事件を解決した後もOZの末端構成作業員としてバイトしている健二は、絶賛サボり中の親友にきょとんした声音で聞き返す。
 今では、健二と佐久間の二人のパソコンを使う専用の教室となってしまった物理部の部室から、中庭を見る。
 二人の少女が百合っぽい風景を演じているかに見えるが、この春に部長になった後輩から、健二が数学オリンピックで優勝した腕前をみんなの前で見せて欲しいといって、強引に大教室へと引っ張られ、健二が黒板を使って演算の演習をした時に、ミーハー女子や男子の中に混じっていた一年生の女子二人だろうと見当つけていた。
「夏希さんという女性≪ひと≫がありながら、このこの、隅に置けませんねぇ。旦那っ!」
 にやりと笑いながらいうと、そこでようやく健二が振り返った。
「はあぁ?何を言ってるんだよ。よくわからないやつだなぁ」
 鈍いのはこいつの特性か、それとも意図的か?
 ――最近、上司≪理一さん≫に似てきて、はぐらかすの上手くなったからなぁ、こいつ。
 自分を棚に上げ、腹黒い健二を想像した佐久間は、「まーまーいいですけどねー」と、牛乳パックの中身を飲み干して、作業に戻る。
 彼も立派なOZの構成担当者だ。しかも、こと「構築」に関しては、健二よりも権限がある。
 一年前の大立ち回りの斬新な結果を、理一さんとこのバイトと同様に責任も負わされて権限を与えられてしまったのである。
 面倒くさい。大いに迷惑だ。だが――それでも面白いと、佐久間はこの状態を認識していた。
 隣で作業をやり始めた友人の先ほどの言葉が気になりつつ、健二もまた作業に集中していった。

 だから、気づかない。
 親友である佐久間が、そっと自分を窺っていたことに。

 この一年で、拳一つ分成長した健二は、今では夏希先輩を超えている。
 ヒールを履かれると、せっかく越した身長がまた一緒になっちゃうんだ――と笑ってはにかむ健二だが、その夏希先輩が、そのことに気づいてからヒールの低い靴を選んでいることに気づいているだろうか?
 いや、親友としては、さらに牛乳を飲み、運動をして身長を伸ばそうとしている健二の努力が報われることをひっそりと祈ってやるのが正しいだろうと、彼ら二人の初々しいやり取りを観察していのだ。
 子供らしさが残っていた顔は、去年の大事件と先輩と付き合うようになってからの責任感、そして――ちょっと危ないバイトのせいで凛々しさを増し、他の高校三年生とは違う雰囲気を持つようになったと、佐久間は思っていた。
 
 ――あ~あ。こりゃぁ、本気になる女の子はこれからも結構増えるぞー。

 自分を見つめているいくつかの視線をスルーしていることに気づかない佐久間は、親友への視線だけは敏感に悟っていた。いくつかのフラグを自分でへし折っている事実に気づくのはまだ先のことであり、彼の恋の話はまだ当分先の話であろうことは、間違いない。

「お前は“Classic”だな」

 呟いた佐久間の声は、カタカタとキーを叩く音にかき消され、聞こえない。

 原石を削り出し、磨き上げた少年は、好きな女性すら眩しく見つめる光り輝く宝石となった。
 ――俺も、Classic《超一級品》になりたいねぇ。
 心中の独白は、誰にも聞こえない。

 だが、少年も、また知らないのだ。
 宝石の隣であって、腐ることなく、色あせず、また輝ける存在も、Classic《超一級品》であるということに。

《and that's all...?》

This fanfiction is written by Ryoku.




という感じに書き上げてみました
うちの佐久間と健二は、防衛大学校に進むんですが、高校三年生なのにそんなにカツカツして受験勉強していません。いや、まだこの時期だからかな?
まぁ、究極の家庭教師を持っているからっていうのもあるんですけどね。
ネタは、まだありますので、気長にお待ちください。
偶にふると、ページ化しないでブログで書き連ねることがありますが、そのへんはご勘弁を。

だってページ化するのが面倒臭い

感想お待ちしています!

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January February March April May June July August September October November December
2010(Wed) 21:46

『おいちゃんと一緒』丈田様に捧ぐ/六周年記念リクエストSS

小説

急に冬らしくなり、セーターを着る日々が続いていますが、皆様からだの調子はどうでしょうか?
いやぁ、私はもう首にタオル巻いて寝てますよ。
喉が弱いので、直ぐに風邪を引いてしまうんですよ。喉を潰すようなものをねぇぇぇぇ!
そんなこんなで、季節はずれな六周年記念リクエストになりますが、漸く書き上げましたので、どうぞ!




 『おいちゃんと一緒』

 粟楠会の幹部である片目の男は、非常に不機嫌だった。
 端から見るとそうでるとはわからない笑い顔だが、彼をよく知る四木や幹部たちなどは、近づいてこない。
 なにがそんなに気に食わないかというと、彼が密かに援助している――この場合の援助とは、エンコーとか売春とかそういうイカガワシイことではなく、本人は至って「あしながおじさん」のつもりであるからして、決してふざけて「パパァ?」などと言ってはならない。純粋に好きだった女性の孤児を援助しているのである――少女と、最近なかなか都合がつかないのだ。
 前は週に一度という頻度であっていたのだから、「それは多すぎですよぉ」と言われるくらい。だが、今では月に一度あればよい方で、ここ三ヶ月は陰ながら危機を回避したり、もしくは朝の挨拶で終わりだ。
「おいちゃんは、枯れているとはいえ、清く正しい男女交際みたいなつきあいは物足りねぇんだぞ」
「その言い方はやめませんか。誤解を受けますよ。あんた、前に『あしながおじさんだっ!』と主張していたじゃないですか。それじゃぁ、若い愛人に逃げられた寂しいおっさんですよ」
「……ってめぇ……四木っ!」
 常に持ち歩く杖を構えて本気で襲いかかろうとしているが、この男の「フリ」であることを知っている四木と呼ばれた男は、どこ吹く風――である。
「朝と夕方の挨拶だけじゃ、寂しいって。……組長も将来茜ちゃんを相手に、こういう気持ちを持つのかねぇ」
「それ、あの方に言わない方がよいですよ」
「言うか、バカっ!……娘なんて持つと、男親は切ないねぇ」
「…………あの子、本当は、あんたの子なんじゃないでしょうね、赤林さん?」
 かなりの執着を見せる少女への感情が、本物の父親のそれのような気がして、四木はいぶかしむ。
「まさか、そんなんじゃありませんよ」
 ――そうだったら、よかったんですけどね。
 心中で男――赤林が吐露したことは、恐らく本音だ。
決して決めた情人を作らなかった赤林が、心の底から求めた女性が、杏里という少女の母親だった。父親になることも厭わないと考えていたが、娘一人が残された一家惨殺事件によって、それも叶わなくなった。
 赤林は、自分を彼女の「あしながおじさん」として接することだけを、亡き女性との縁にしていた。
 ――まぁ、原作の「あしながおじさん」通りにしたら、おいちゃんロリコンって言われるからねぇ。
 原作の「あしながおじさん」は、ラストに援助者である「あしながおじさん」と主人公・ジュディ・アボットの婚姻が成立するのである。閑話休題。

「あれ……あれは、杏里ちゃんじゃないんですか」
 四木の言葉に物思いから立ち直ると、すぐに赤林は身だしなみを整え、席をたつ。
 ちらりと赤林を見て、四木が呟く。
「そう言うところが、『若い愛人』じゃないかと言われるんですよ」
 苦笑を込めたその呟きは、赤林に聞こえることは無かった。

***

「こんにちは、赤林さん。……あの、よろしかったんですか?」
 杏里は、打ち合わせ中だったと思われる喫茶店からでてきた赤林に恐縮し、店の中にいる四木に向かって会釈する。
 ひらひらと手を振っている四木を見咎めた赤林は、四木に向かって「シッシッ!」と野良犬を追いやるみたいに手を振る。
 クスクス笑う杏里に、頭を一つ掻くと、
「こんな時間にどうしたんだい?」
 と訪ねた。
 学生が出てくるには少々早いお昼の十二時すぎ。学校はどうしたのかと訪ねると、おかしそうに笑う。
「今日は午前でおしまいなんですよ」
「へぇ、そんなこともあるのかぃ」
 ゆとり教育がどうのこうのという反動で、今じゃ中高生のカリキュラムはぎっちぎちと聞くのに、そんな「ゆとり」が良くある物だと臭わすと、「文化祭が終わったんですよ」と今日は、片づけだけなのだとの説明に、そんなものかと納得する。
 そして、何かを言おうかどうかともじもじしている杏里に、不思議に思って話を促すと、嬉しいことを言ってくれるのだ。
「あ、あの……この間のハロウィンは私の都合でご一緒できなかったので、よろしかったら今日……」
 そこから先は言わせずに、赤林は笑い顔と言われる顔を、正真正銘の「笑顔」にして杏里を誘った。
「杏里ちゃん、よかったらおじさんと一緒にお昼はどうかな」
 杏里のはにかんだ笑顔に、彼は酷く安心したのであった。

 高校生の少女が入るには少し高級そうな店でのランチであったが、杏里は少し目を見張っただけで、店の雰囲気におじけることなく食事を楽しんでいる。
 前菜からパスタ、メインは魚料理を選ぶ。肉料理は女の子にはちょっと重いだろうという、オジサマの配慮だ。
 煌びやかな世界に興味がないというわけでは無いだろうに、その品の良さは、『今時の若者』という揶揄からは想像できない。
 あまり笑わない印象だった少女も、二人の友人――金髪のチャラ男と中肉中背の普通青年――のおかげで、会話の端々に笑顔を見せるようになった。
 ――これが、おいちゃんのおかげとかなら、嬉いんだけどねぇ。
 自分の心中など欠片も臭わせず、赤林は楽しい会食を続ける。
「ああ、杏里ちゃん。ここのデザートはとても美味しいんだよ。パリ帰りのパティシエがいて……」
 続けられようとした台詞は、しかし遮られる――。

『杏里ぃぃ!?』
 
 素っ頓狂な声がくぐもって聞こえた。
 店の外から、窓の向こうから聞こえてきたのだ。
 杏里をこのように呼び捨て、なおかつ呼ばれた少女が驚きながらも苦笑を滲ませる相手など、赤林は一人しか知らない。
 彼女の友人の片割れである金髪の少年――紀田正臣だ。ということは――もう一方の片割れである短髪黒髪の少年であるエアコンみたいな名前の竜ヶ峰帝人も一緒である。
 親友の暴走を止めようとあがく帝人を引きずりながら、高級そうな店に乗り込んできた正臣に、赤林も苦笑するしかない。
 なぜなら、帝人たちの言いそうなことがあからさまに想像できるからだ。
「折角二人で食事を楽しんでいるのに悪いよっ」
「杏里が、あんなおっさんと二人でいることに危機感は無いのかっ」
「いや……し、親戚のおじさんとの会食だったらどうするんだよっ」
「杏里にちっとも似て無いじゃないか。すべての女性を愛する僕としては、看過できない状況だね」
「いや……でも、僕らこの店で浮いているって」
「なぁに、杏里がいるなら大丈夫だろ」
 と、席に近づくまで漫才のような会話を繰り広げ、周辺のお客も笑いをこらえている。騒がしい客のようでいて、微笑ましいと思われる程度には、彼ら二人は粗相をしていなかったのだ。絶妙といえば絶妙。巧妙と言えば巧妙と言えようか。
「杏里ー?その方はどちら様?あ、僕は杏里の恋人候補の友人で親友の紀田正臣君でっす」
「恋人候補の友人って、ぼ、ぼぼ僕のことぉ?ちょ、正臣ぃぃ」
「そして、こいつが、今一番杏里にホットな彼!竜ヶ峰帝人君でっす」
「やぁ、二人とも。おいちゃんは赤林っていうんだ。下の名前は秘☆密!だよ。杏里ちゃんのお母さんの知り合いなんだ」
 知り合いと言うには思いが込められて、深い関係を伺わせる赤林の言葉に、二人はちゃかしてはいけない雰囲気を察知する。
 正臣と言えば、杏里が粟楠会の幹部である赤林と会話しているのに気をつけるべきだと忠告するために近づいたのだが、出鼻を挫かれた状況だ。思ったよりも、杏里には近しい人で、『ヤクザ者』として認識するよりは、『義父になり損なった人』として情報を認識すべきと判断した。
 ちゃかした雰囲気を潜め、勧められるまま二人で席に座る。
 赤林は少年二人からも杏里の学校での様子や、池袋に住んでまだ一年もたっていないという帝人と会話を楽しんだ。
 正臣としては、『危険な臭い』のする赤林に帝人を近づけるのは得策ではないとして、杏里は気になるがよっぽどしっかりしているからと自分を納得させて、デザートを奢ってもらうと、行きとは別の理由で帝人を引きずって店を出ていった。

「いやぁ、おもしろい二人だねぇ」
 赤林の言葉に、杏里は柔らかに笑う。
「……はい。『私』の大切な友達です」

 親友という言葉や、恋人という特別な言葉は使わなかったが、赤林には特殊な環境におかれた杏里にとっては、最上級の言葉であることを敏感に察した。

***

 店を出て、その後も『デート』を楽しんだ二人は、夕食の時間に分かれた。
 赤林に会食の用事があったのと、女子高生をその筋の人間と夕食まで一緒にとらせることに抵抗があったからだ。
 杏里のほうは気にしている様子は無く、笑いながら去っていった。
「今の今までデートでしたか?」
 背後に車が寄ってきた事は、とっくの昔に気づいていただろうに、粟楠会の赤鬼と呼ばれる男は微塵も動じない。
「……なんだい。若い女の子とデートできない僻みですか、四木さん」
「ノーコメントで」
「えぇ。やっぱりそっちの趣味がっ」
「おふざけはやめましょう。そろそろ我々の時分ですよ」
 車の扉を開いて、中に乗るよう促した四木は、乗り込んできた赤林が『赤鬼』の異名に相応しい目をしている事に気づいた。緩く上がる四木の口角に赤林は気づいたのだが、何も言わずに車窓の向こうを眺める。
 通りの向こうに、角を曲がろうとする一人の少女が見えた。
 つい先ほどまで、彼の心を癒し、満たしていた少女だ。
 そして――なり得なかった、彼の義理の娘。

 彼の掌には、鈍く発光する光がある。
 携帯電話がメールの着信を示していた。それは、粟楠会の幹部である赤林が任されている、とあるネットギャングの情報を探る為に契約している情報源からのメール着信音であり、先ほどであった凡庸な少年と関係があるのだが、今は別の話。
 ちらりと携帯電話に目をやる四木に薄く笑うと、そっと胸元にしまいこむ。

「確かに、オシゴトが待っていますね」

 感傷を瞳の奥に常に湛えながらも、彼は夜の池袋へと向かうのだった。


...and that's all?《それで、おしまい?》

This fanfiction is written by Ryoku.




ということで、大変お待たせいたしました。
丈田さんお持ち帰りくださいませ。もしかしたら、ページ化したときに加筆があるかもしれませんww
京極は無理でしたので、デュラララ!!ですみません。
「杏里と赤林」でやらせていただきました。
「茜と平和島静雄」はまた次の機会を!是非とも!
中々イジリがいのある人たちですから、きっと動いてくれると思います。

赤林さんが出てくると、普通の人間の凄さっていうのを感じますね。
このSSでは分かりませんけどw
普通な人としては、私の好きな帝人様は、随分と非凡なかたですから、「凡庸な」という形容詞が合わないんですが。
ではでは。大変お待たせして申し訳ありませんでした!

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January February March April May June July August September October November December
2010(Sun) 21:51

ハロウィンSS『紀田正臣のとっても大変なハロウィン』

小説

Trick or treat!

つーことで、ギリギリですが、ハロウィンらしいことをしてみました。
十二国記タイプのSSをご用意は出来なかったんですが、今もっともお熱なDRRR!でやってみましたww
タイトルに正臣が入ってますが、大変なのは君じゃなくて帝人様だと思うよ!
時期的には来良組がそろっている半年ぐらいかな。一年目最高ー!



『紀田正臣のとっても大変なハロウィン』

 常におしゃれに気を使う彼には考えられないが、艶やかな似合いの茶髪をくしゃくしゃにハネさせながら、少年――紀田正臣は、街中を疾走していた。
 息を切らせて必死な様子は、どうしたことだろう。
 デートに遅れた? 友達との待ち合わせに遅れそう? いや、違う。

 ――誰かに追いかけられている?

 ――YES.

 ちらちらと背後を振り返る彼は、昼間っから死にそうな顔をしている。
 あまりにも自分を追ってくるものに気をとられた為か、お約束通り前方からやってきた誰か――自分とそれほど背丈の変わらぬ少年とぶつかった。
「うわぁ」
 素っ頓狂な声をあげて、ぶつかってしまった相手は道中で尻餅をつく。
 一方思い切りぶつかった正臣はちょっとバランスを崩しただけで、その場で多々良を踏む。ぶつかった相手には悪いが、なんと要領の良いことだろうか。
「もう、前を見ないと危ないじゃないか。正臣」
 幸いと言うべきか、不幸と言うべきか、彼がぶつかった相手は知人、というか親友だった。
 この行幸を見逃すような元黄巾賊の将軍では無い。凄まじい勢いで脳内で計算をした彼は、親友を自身の困りことに巻き込むことを即座に決め、実行した。
「おお!何ということだろう。我が友よっ!この秋晴れのすばらしい休日の真っ昼間から、独り身なんて、なんて友達思いの親友だろう!」
「僕が休日をどう使おうかなんて、正臣には関係無いよね」
「いやいや、俺は分かっているよ。君は俺の為、今この困難に立ち向かう俺のために、今日、この日、この場所、この時間にやってきてくれたのさ」
「ねぇ、正臣。僕の話を聞く気はある? っていうか、僕にぶつかったことを謝る気はあるのかな?」
「いやいや、立ち上がり給え我が友帝人よ。 そして――お願いだから一緒に逃げてぇぇぇ」
 それまで立て板に水のごとくしゃべり倒していた正臣は、立ち上がらせた親友の手を取り強引に街中を走りだした。
「ちょっと、待ってって……ってええぇぇぇぇっ!」
 引きずり回される少年――竜ヶ峰帝人は、悲しく絶叫した。

∥†††∥

 はぁはぁと息も荒く、二人の少年はいつもならもう一人の少女と一緒につるんでいる公園にやってくる。
 近くの自動販売機――なぜか傷だらけで、イヤに重い錘がついている。盗難防止とか釣り銭泥棒防止とかそういうレベルじゃない。明らかに『何か』を恐れての防止策であろうことは、池袋に住んで半年はたった帝人にも以前からの住人である正臣にも明かだった――から炭酸飲料《サイダー》を購入し、正臣は巻き込んだ少年に投げ渡す。
 そのままペットボトルの蓋をあけ、正臣に炭酸攻撃でも仕掛けようかと思ったが、缶ではなく容量も多く値段が高いペットボトル飲料であったため留保する。辛くも泡まみれになることを回避した正臣ーーもしかしたら、少々の出費でそれを回避出来ることを帝人の『親友』であると自負している彼には理解してたのかもしれない――は、不機嫌そうな親友に目をやり、片目を瞑って謝意を表す。今時珍しく、完璧なウィンクであった。
「で、どうして僕が巻き込まれなくちゃいけないのか、教えてくれるよね?」
 なれた親友が相手というからなのか、帝人とは早速ケータイを取り出し、ながら操作で何かをしている。その指裁きはちょっと驚く早さで、イマドキの若者を自負している正臣も目を見張る。ケータイの扱いにかけては恐らく催促を誇るだろう女子中高生に匹敵する、いやそれ以上なのではないかと常々正臣は思っているのだが、それは口には出さない。
「いやぁ……そこは俺の親友ってことで一つ納得を――」
「出来ないから、聞いているんじゃない」
 ピッと電子音を慣らせながら、作業を終了させた帝人が正臣を見つめる。
 ――あー……困ったなぁ。“まだ”、教えるわけにはいかないしなぁ。
 ガリガリと頭を掻くと、正臣は用意しておいた『嘘』を口に出す。――嘘というよりか、遠回りの答えと言うか。
「杏里も誘って、ハロウィンパーティーでもやろうかと」
「……はろうぃんぱーてぃ?」
 よく分かっていないのか、帝人の口から棒読みの言葉が漏れる。
 いや、理解しているのだ。――そんなことなら素直に僕にも相談すればいいのに。確かに帝人の顔にはそう書かれており、だからこそオウム返しをしたのだ。
 そして、可愛い顔して必死な正臣がふれたくなかった重大なことをいってしまう。
「この街に、今日いるだけで、十分ハロウィンは満喫できるんじゃないかな?」
 自販機を素手で投げ飛ばす金髪バーテンダーとパルクールでその攻撃を交わすジャケットプレイする情報屋とロシア人なのに寿司屋の店員である二メートル近い黒人と、赤い目をした増殖する妖刀に取り付かれた人々に、ガスマスクをする白衣を着た変人と人を切り刻むのが大好きなその息子の闇医者。そして――何よりも怪異である妖精デュラハン・首なしライダーがこの街にいるのだ。
 年中ハロウィンパーティーだろうという、あからさまな視線を込めて、帝人は正臣を見つめる。
「そ、そーですよねー」
 乾いた笑いを顔中に張り付け、がくりとうなだれる。
 実に言われたくなかった言葉だ。
 その言葉を最後に自分を置いて、どこかにいくかと思われた親友は、しかし、くすりと笑って遊具から立ち上がる。
「僕は何をすればいいの?」
 この親友が、実は『ダラーズ』の創始者であることなど微塵も知らない正臣は、自分が手に入れた行動力のある親友の力なぞ全くわからないだろうが、彼は親友の今日一日という時間を手に入れたことだけは明らかだった。
「おお、我が親友よっ!」
 抱きしめようとした正臣を最小運動で回避した帝人は、あきれながら親友の頭を軽く小突いた。

∥†††∥

 そして、過ぎ去る時間は十時間。
 本当は、帝人と杏里と一緒にハロウィンを楽しみたいだけで、街中を必死に走り回って二人を探していただけなのだが、途中で女の子をぞろぞろと引き連れた自分の天敵のような包帯まみれの男と遭遇し、軟派師としての直感で違いにシマを分けあって離れていた最中に、運良く一人目の親友である帝人とぶつかったのである。
 頼みの綱であるはずのケータイは、電池切れ。帝人と出会った後にコンビニで充電電池を購入し、杏里を呼び出した。
 街中はハロウィンの最終日にふさわしい最盛期で、休日と言うこともあり実ににぎやかだった。
 カボチャ提灯《ジャック・オー・ランタン》に骸骨。かわいらしいデフォルメされた吸血鬼やゾンビのキャラクターに、マジモンのホラーメイクをあしらった大道芸人なんかも出現していた。
 気がつくと、帝人はちょくちょくケータイをイジっていることもあるのだが――これは、『ダラーズ』の管理人として、ハロウィンである当日の演出をちょっとがんばっていた訳なのだが、この辺の特殊な演出はその後語りぐさになるのである。しかし、それはまた別の話である――、楽しそうに街の喧噪に酔っている。
 突然呼び出された杏里も、猫耳カチューシャをつけられ、魔女っ娘コスプレをさせられるというとんでもない格好なのだが、今日という日が彼女を麻痺させていた。

 最初は電池切れで親友のケータイに連絡をとることも出来ず、同類と鉢合わせして軟派するシマを荒らされてあわてて住み分けする羽目になったが、親友とその彼女候補と楽しいハロウィンを経験でき、実にすばらしい一日だったと紀田正臣は満足していたのである。

 が――悲しいかな。怪異や非日常を愛する彼の親友竜ヶ峰帝人は、最後に極めつけの『怪人』を引き当てた。
 三人で仲良く街中を歩いていた帝人は、またなにやらケータイを取り出し作業をしていた。そして、そんな「ながら作業」をしていたため、反応が遅れてしまった。
 そして、それは起こったのである。

 街中で歩いていても、彼は常に自分の周りが開けており、まるで花道を歩いているかのようにどんな人混みでも空間があることを知っていた。
 自分に喧嘩を売ってくる奴――彼を知らない奴か、思い出すだけで虫酸が走るようなあいつ――以外は、彼をまるで避けるように、いや、実際さけているのだろう。彼の歩む先は常に開けていた。
 前方から、三人の高校生がやってくるのが見える。仲良く男二人と女一人の三人組はこの街中でもよく見るグループ構成だが、彼がよく知っている人物たちでもあった。今日はハロウィンというお祭りみたいなものと知っていたので、自分のような男と鉢合わせしては悪いだろうと、少々気を利かせて、開けた道からはずしたやった。それが、間違いの元だった。
 常にはしない、気の利かせ方が、衝撃を生んだ。

 ドンッ!

 軽い衝撃音が人と人がぶつかった事を周囲の人にしらしめた。
 ふつうなら、その後の軽い謝罪や下手すると喧嘩が始まったりする街なのだが、先ほどまでの喧噪が嘘のような静まり返りである。
 その街、その通りにいる人たち皆が、固まっているのであある。
 金髪バーテンダーと中肉中背の少年がぶつかって、少年が道中にしゃがみ込んだ。
「いったぁ~。……ったく、今日は本当によく人にぶつかるなぁ」
 つぶやいた少年こと帝人は、そこで自分の声がこの街中であからさまに響くことに気づく。そして――そっと頭上に視線を向け、愕然とした。
 自分を見つめる多くの驚愕の表情と、親友二人の不安と恐怖の混ざった顔。そして、何よりも自分を見つめるぶつかった相手の何も表情を伺えないサングラスの向こう側にある視線。
 ――あ、やばいかも?
 冷静に状況を確認した帝人は、しかし、ただの人でありながら、もっとも怪異に近い人間でるこの街で有名な金髪バーテンダー・喧嘩人形こと平和島静雄との遭遇に心を躍らせてさえいた。
 そっと立ち上がった帝人は、ぶつかった事を謝ろうと口を開こうとして、静雄の背後から顔をのぞかせた彼の上司と目があった。
「俺に任せろ」といわんばかりの、正臣とは違う大人の威厳と色気を漂わせたウィンクをした。
「静雄、今日はハロウィンだそうだ」
 その言葉が一体何だというのだーー!
 周囲にいる野次馬たちは、今まさに少年がこの男の拳の餌食になるんじゃないかと冷や冷やしているのに、彼の上司は冷静にそんな事をいうのかと、怒気を募らせる。
 しかし、その言葉を聞いた静雄は、じろりと帝人の全身を汲まなく眺め、言った。
「……ォ……ト」
「……え?」
 聞き返した帝人に、今度は周囲の野次馬にも聞き取れる様に大きな声を出して凄んでみせた。

「トリック・オア・トリートっ!」

 杏里が猫耳の魔女っ娘のコスプレをしているのなら、帝人は牙とマント姿が有名な吸血鬼の格好をしていた。ふつうなら、帝人がその合い言葉をいうのが似合いなのだが、先ほどから何度もいうようであるが、静雄こそこの街の「怪異」そのもの。その人である。自分が「人外」に見られている事など知っている彼は、自ら口に出して肯定したのだ。恐らく自分の言葉に傷つきながら。
 だが、この日に「人間」に向けてその言葉をいうのがこれほど似合う人物もいない。
 そして、今まで吸血鬼の格好をして、その合い言葉をいってお菓子をいっぱい集めてきた帝人は、自分の行動を今度こそ間違えなかった。
 かき集めてきたお菓子をめいっぱい差しだしたのだ。
 そんなにたくさんのお菓子が欲しかった分けでも、そもそも騒ぎになりそうなこの場を納めるつもりで口走った合い言葉なので、彼はその中から一つだけ選んだ。奇しくも、帝人が一番気に入っていた高級なお菓子であるのだが、視線で未練がましく追うだけで、口に出して帝人は恨めしそうな言葉を紡ぐことはしなかった。
 その顔が余りにもおかしかったのだろう。やっとくすりと静雄は笑うと、帝人の頭をくしゃりと掻き回し、隣にあったペロペロキャンディーで許してやった。

 ひらひらと手を振って去りゆく静雄と、「気をつけなよ、にーちゃん」と言って去ってゆく彼の上司に、最早最敬礼で挨拶した帝人に、周囲も親友たちもほっとするのであった。

「……今日、一番のイベントだったと思うよ」
 帝人のつぶやきに、正臣は万感を込めて言った。
「それは、俺の台詞だ」
 しゃがみ込んだ正臣――フランケンシュタインの格好をしている――は、地面にしゃがみ込んだ情けない姿だ。
 その場で臨戦態勢だったのは、罪歌である杏里だけだったとは、二人の男は終ぞ気づかなかった。

 そうして、親友二人を巻き込んだ楽しいハロウィンになるはずだった彼の一日は、最後に特段の爆弾の処理をこなし、時間に追われてた正臣の大変忙しいハロウィンとして、終わるのであった。


 めでたし、めでたくもなし。

《了》

This fanfiction is written by Ryoku.




突貫工事の代物ですが、お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞーってことで、お菓子ご用意しましたw
食べておなか痛くなったとか、そういう苦情は聞かないぞ!



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January February March April May June July August September October November December
2010(Fri) 20:38

『イザナミ』あめのちはれ様に捧ぐ/六周年記念リクエストSS

小説

今夜からのワールドカップは、日本が全然絡まないので純粋に楽しめます。
とりあえず、オランダ対ブラジル戦は審判が日本の方というのもあって、どうなるのか楽しみ。
つか、誤審でもしたものなら審判日本に帰ってこれないんじゃ……(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

とても良い好カードなので、どういう展開になるか楽しみです。
ドイツ対アルゼンチンとか最高だよなー。うはー。

と言うわけで(どういうわけだ)、本題へ。
何とかリクエストをSS化できたので上げます。
順番が変わっちゃって申し訳ないのですが、こちらから先にあげさせてもらいます。




『イザナミ』

 故、ここに返り降りて、さらに、その天の御柱を往き廻ること、先の如し。
 ここにイザナギの神、先に、「あなにやし、えぇ、をとめを」と言ひ、後に、妹、イザナミの神、「あなにやし、えぇ、をとこを」と言ひき。
 かく言ひ竟へて、御合ひして生み子は、淡路之穂之狭別島。


 白いシーツの上に豊かな黒髪が幾筋も流れる。
 茶色はもちろん、金や銀、更にはどぎつい色に染める人が多い最近の若者たちの中では、妙に浮くだろう。
 それでも黒髪にする女性たちは増えつつあると言うが、彼女程綺麗に手入れされた長い黒髪は、ない。
 長い時間を弄ぶのに飽いたからか、純粋にその手触りを楽しんでいるのか。男が流れる黒髪を一房とって手慰みしていると、持ち主である女性が鬱陶しそうにつぶやいた。
「あんた、気持ち悪いわよ、それ」
 情事の後の微睡みもなんのその。
 女性は男の手の中から強引に自分の髪の毛を取り返すと、また触ろうとする右手をぺしりと叩いた。
「くくっ。辛辣だなぁ波江は。それが一夜を共にした相手に言う言葉かい」
 笑いながら苦情を言う男は、それほど気にはしていないようだ。
 波江と呼ばれた女性は、嫌そうに顔をしかめながら、さも当然のように今宵の相手である男に宣った。
「あら。だってあなたは私の誠二じゃないわ。単なる情欲の発散相手よ」
 女性だってため込むと体に悪いもの、そう続いた言葉には、男――『人ラブっ』と宣う折原臨也という変人――はくくくっ、と笑い頷きながら言った。

「だから、俺は『君』という人間が面白くて堪らない。絶対に俺を愛するわけがない『君』という存在は、本当に貴重なんだ」

 一夜の相手に蟲けらのように見つめられ、気持ち悪いとまで言われてもこう言える男は、確かに変わっている――『変態』という言葉がこれ程あう人間もいまい。
 折原臨也という男を嫌う人間なら五万といる。それはもう、あった途端に24時間戦争をしあう程憎みあう人間《平和島静雄》や、人の皮を被った妖刀《園原杏里》など、枚挙に暇がない。だが、彼という男は、たやすく人間の脆い部分に入り込み、どんな人間も取り込んで、自分が相手にとって有効的な――「好きな」人物であると思いこませることができるのだ。何人かの例外を除いて。
 己もそういう例外――「折原臨也を嫌いな人」の中の一人であると主張したかったが、そもそもどうして気に食わない上司に組敷かれ、こんな有様になったのかを思い出すと、問答を楽しむ気のない波江は欠伸を小さして「寝るわ」といって臨也に背を向けた。
 男がもう一度髪の毛をイジるのも良し。何もしないのも良し。何かシ掛けてくるなら――それもまた良し。
 ただ、安心して背後を預けているという事実には、彼女は気づいていないようだった。
 気品のある優美な曲線を描く女は、まるで気高い猫。決して人に靡かず、懐かず、気が向いたときにだけすり寄ってくる、美しい猫。
 臨也はそっと波江の耳元に口を寄せ「おやすみ有能秘書さん」と囁いた。

 * * *

 ぺらりと気の抜けた音をさせ、臨也は有能な秘書が纏めた情報を眺めながらコーヒーを啜る。
 ――さすが、元製薬会社の役員。高級嗜好品に慣れた舌が探し出す豆も、自分で入れる腕前も上出来だ。
 常に探求心を忘れないと豪語する彼は、軽そうな口調と外見とは裏腹に、「最高」という言葉を滅多に使わない。であるからして、波江が煎れたコーヒーに対して与えた「上出来」という評価は、実に高得点。殆ど最高点と言えた。
 馥郁と薫るコーヒーは臨也の気持ちを良くすれども、悪くはしない。しかし、折角の美味しいものでも、今彼の目の前にあるレポートを眺めていると、しかめ面で飲み干さねばならない。実に残念であった。
 だが、どんなに大変な事であれ、彼と言う人間にはどれもそれ程重要な案件ではないのだろう。
 新宿や臨也をひっかき回す案件や、池袋を騒がしているのも退屈しのぎなのかもしれない。
 だから、それはちょっとした気の迷い――彼にしてみれば、暇つぶし。振り回される人にとっては、大いに迷惑。
 ざっと眺めたレポートと、自分の頭の中にだけにある情報と、ネットの広大な海の中で集めてきた泡沫。それらを重ね合わせて、まぁいいかと踏ん切りをつけた。
 ――取りあえずは、計画通り。吸収された黒沼青葉《ブルースクエア》の行動が竜ヶ峰帝人《ダラーズ》にどう言った結果を齎すか、お手並み拝見といこうかな。
 ふふん、と楽しそうに笑い、そして歌い出しそうな身軽な気持ちで、この楽しい思いを身近な人間に伝えてあげようと思った。

「んねぇ、波江。『イザナミ』って言ったら、何を思い浮かべる?」

 上司の突飛な言葉には大分ついていけると思っていた波江だが、この台詞にはいったいどういう裏があるのか大いに迷った。
 日本神話の「イザナギ」と「イザナミ」を指していることは容易に想像できるが、果たしてそこからどう言った答えを欲しているのか。
 池袋を活動の拠点としている「首なしライダー」が、妖精デュラハンであり、北欧神話に登場するヴァルキリーが地上に堕ちた姿であるという仮説を証明しようとしている折原臨也である。この質問もそういった神話から何か新たな仮説を組立て、何かの火種にするつもりなのだろうか。
 そこまで考えつくのに2秒半。優秀な秘書であり、打てば響くように何らかの反応を返す矢霧波江としては、十分遅い反応と言えた。
 だから、目と鼻の先――ほとんど唇がくっつきそうな程近づいていた上司の接近に、珍しく慌てて座っていたソファにめり込んだ。
「近づきすぎよ。誠二だったら全然、全く、多いに構わなかったのに」
 狂った男の秘書である、近親相姦を全く問題と思わない狂った女は、ぺりっと張り付きそうな程近い上司を自身から遠ざけようとする。
 しかし、優男の印象とは裏腹に、以外に強い力で体を拘束される。
「いやーん、波江ったらひっどーい。質問に答えてくれないと、甘楽寂しいぃ」
 チャットの中でのみ活動する「甘楽」という女性の人格というか、ネカマに扮している臨也のハンドルネームのキャラクターで波江に笑いかける臨也は、質問の答えを言わないと拘束を解いてくれなさそうである。
 ――果たして、質問に答えたところで拘束を解いてくれるかも謎ではあるが。
 というわけで、優秀な頭脳を持つ女史としては残念ではあるが、安易な答えであり素直な答えを導き出した。
「日本の創世神話に出てくる二柱の一方。『イザナギ』の伴侶であり、日本人の遠い祖先ともいえる女性の神。『伊邪那美』と書くこともあるわね。別名 黄泉津大神、道敷大神。火の神カグツチを産んだ時の火傷が原因で死亡し、黄泉の国から連れ帰ろうとした『イザナギ』は『元に戻る最中は見てはならない』という約束を破って妻の姿を見て逃亡。その怒りから離縁し――まだ何か言ったほうが良いのかしら」
 ぎりぎりと近づいている顔を、可能な限り女の細腕で押し返しながら、出来る限り説明する。普通はそこまで出てこない。さすが矢霧波江と言うべきか。
 答えがつまらないのか、ふんっと鼻で彼は笑うと、
「波江さんともあろうお方がそんな安直な答えに飛びつくなんて、矢霧製薬の重役っていうのはそんな頭でも大丈夫だったわけ?アメリカ最大手の製薬会社であるネブラに目を付けられる程の頭脳ってそんなもんなわけ?」
 と波江に至近距離で揺さぶりをかけてくる。
 しかし、痛くも痒くもないのは波江のほうだ。相手の意図が分からないのだから、普通に答えた何が悪い。思いっきりバカにした目つきで見上げてやった。

 ノってこない波江に痺れを切らしたか、そもそも反応など気にしていないのか。
 漸く臨也は先ほどの質問の答えを言った。

「臨也と波江で臨波≪イザナミ≫」

 ただし――相手の唇を己のそれで塞いだことで。
 骨伝導とでもいうのだろうか。何となく理解させた、というのが正解だ。

 硬い雰囲気の美しい顔は、見事なまでに呆気に取られ、目を見開いている。
 普段なら、軟派をする男性陣を容赦なく切り捨てる彼女であるが、突然の上司の強行と言動には理性が追いつかないらしい。
「なっ…………ななな、何しているんですかっ」
 女性らしく、顔を赤らめて言えば可愛げがあるのに、顔は蒼白である本当に気持ちが悪いのだろう
 波江を混乱させ、自分の口内の中に消えた臨也が言った言葉とは――。
 くだらない、言葉遊び。
 そんな想像は露とも出来なかったし、したくなかった。

 しかし、冷たい氷の美女と名高い誠二≪おとうと≫だけを愛する波江を、こうも揺さぶる言葉がこんな馬鹿らしい言葉だというのが信じられなかった。


 先ほどから自失している彼女は、さらに近づき、自分を撫で回す上司の為すがままだ。
「ねぇ、波江さん。残業手当は出無いけど、もう少し俺に付き合っていかない?」
 その質問は、今夜の相手をしろということか、これから先暫く共に働いていくことなのか。
 臨也が言う言葉としては、破格の誘い文句であることに間違いは無かった。
 そして、自分の頭の良すぎることに絶望する。
 ――確か、イザナミのイザナは「誘≪イザナ≫う」という意味もあったわね。「誘う波」で「イザナミ」…………お誂え向きとはこのことかっ!
 波江は臨也をじっと見つめる。観察する。何を答えれば、コレは刃ではなく、報酬を与えるのか。
 まるで蛇に絡まれているような、縛られているような拘束感は気に食わないが、残念な事に波江はこの感覚が嫌いでないだ。
 そして、暫く付き合っていくのも悪くは無いと思った波江は、ふふっと軽く笑って、上司の耳に囁いた。

「愉しませてくれるのでしょうね」

 優秀な女史との共同戦線が張れる言質を取れたことに満足した臨也は、「人、ラブっ」とのたまう時に浮かべる気味悪い笑みではなく、僅かに口角を上げる『人らしい』笑みを浮かべた。
 確かに『人間』折原臨也の笑みという報酬である。
 ――弟を寵愛する女性に、その報酬は十分であったかどうかは、また別の話であるが。

 今度は優しく彼女を抱き寄せ、男はその夜に相応しいことを悦しむことにした。

* * *

 翌朝、もう一度、昨夜言われた言葉の意味を尋ねたら、トンでもない答えが返ってきた。
「いやだなぁ、波江。昨日も言ったじゃん!それは勿論『折原臨也』と『矢霧波江』のイザヤとナミエをくっ付けた略称じゃない。臨波で『イザナミ』。ほら、俺たちはベストカップルってコトだね。何せ神話の時代から約束されているんだからっ」
 上司の軽すぎる言葉に、若干頭が痛くなった波江は、容赦なく切り捨てた。
「闇医者≪岸谷新羅≫とあなたって、本当にお友達なのね」
 上司が黙り込むのに十分な刃である。

 ペラペラと喋る続けるような男と余計な言葉は、男を廃らせるようであった。

≪了≫

This fanfiction is written by Ryoku.
あめのちはれ様に捧ぐ。




と言う事で、出来上がったものから上げていきます。
第一弾は虫ころすの人あめのちはれサンのリクエストです。

1・あめのちはれ
2・デュラララ!
3・本命→イザナミ
 →補欠 鋼で、ロイ&ホークアイ
4・CPでもコンビでもオチなし的日常でも何でも、作り手様的に波長に無理が無い所で結構です、無理のない範囲でー。
黒幕組が好き…!(聞いてない)
組み合わせ的にどう転んでも不毛な感じにはなると思うので、
こちらが難題なようでしたら 何かしら何とかなりそうな(笑)
鋼の方の上司と部下でお願いします。



と言う事で、デュラララ!!でイザナミです。最初っからマイナーウェイ突っ走ってます。
私は大好物です。まるで狙ったかのようにね!(笑)
「イザナミ」というカップリングを聞いたときから、このネタしか思い浮かばず、タイトルもそのまま。
黒幕組ですから、イザナミ=黄泉津大神という組み合わせはピッタリw
冒頭の三文は、有名な国造りの一節から拝借。
イザナギがイザナミに求婚しなおしたアレですね。

ちょっと色々とR15とかどうしようかと思いましたが、全然大丈夫ですよねー。
こんくらいスルーっすよねーw

あめのちはれサンのみお持ち帰りです。
この度はリクエスト有難う御座いました!



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