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2004(Thu) 16:29

霊山の蒼穹 蘇芳の果実

小説

 長い長い、地上に生きている者たちなら、確かに古い約束《過去》だと思うそれに想いはせ終ると、ふと浩瀚は息子がこの宮殿にやってきた理由を理解していることに気がついた。
思わず、なのであろうか。彼の口元は軟らかな角度で上がっており、妙に清々しい気持ちでいること息づいた。
 そろそろ、この長い回想を終わりにしようと、酒代を机の上に置いたその時であった。
自らの心臓が、まるで初恋を覚えた頃のようにトクンと蠢く様な感じがした。
今、もっとも聞きたいと思っていた人物の声を聞いたのだ。
「如何した、浩瀚?こんな所で会うなんて」
太陽そのものの笑顔で、男に笑いかけるこの少女は、男が今最も大切にしている人物――陽子であった。
どうやら、彼女もここに飲みに来ていたらしく、しかし、それでも出会わない偶然に浩瀚は少し天帝に感謝した。
少女の質問には答えず、彼は別のことを口にする。
「あぁ――雨は止んだようですね」
あんなに物凄い音を立てながら降っていた雷雨が、いつの間にか止んでいる。
雲の切れ間から、一本二本と差し込む陽光は、いつか彼女が親友の巧国王《楽俊》の即位の際に話したという【存在の梯子】というものであったか。

えぇ?っと疑問を口に出し、陽子が後ろを振り向いた瞬間だった。

見事な半円を描く虹が、広がり始めた空を更に広がらせる為に現れた。
灰色の雲と蒼碧の空の対照《コントラスト》を美しく際立たせる。
そして、何よりもその虹は、陽子が背負う後光のように感じられた。

見事な虹に感じ入ったのは陽子も同様であったのだろう。
彼女は呆けながらその虹を見つつも、ある言葉をいった。

【             】

そんなに短い言葉でもないが、長い言葉でもない。
何かの詩かと感じられるその言葉は、浩瀚の知らないものであった。
しかし、何故かとても大切な言葉を聴いた気がしてならない。
ソレは何であるのかと、陽子に聞いた。
すると、陽子は言った。

「縛られねば成らぬものであるなら、わたしはこの言葉の【虹】のような美しい契約を、民とも天帝とも結びたいと思ってね」

浩瀚は、そんな契約であるならきっとどんなに美しいものであろうかと、思い馳せた。
それは、虹のような――美しく、甘美な拘束。




これはわたしと、あなたがた及びあなたがたと共にいるすべての生き物との間に代々かぎりなく、わたしが立てる契約のしるしである。
 
 すなわち、わたしは雲の中に、にじを置く。
これがわたしと地との間の契約のしるしとなる。


――――創世記 第九章

***************
いつか書きたい浩瀚jrの最終話予定。
「あんだろ」を見たら神が望む虹はなんやらとちょっと考えちゃったのよ。あは。

創世記9章は有名な「ノアの箱舟」の話の一部。
新たな世界を作り出す時の成約の形としてヤハウェが虹を置いたらしい。
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