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2010(Wed) 21:46

『おいちゃんと一緒』丈田様に捧ぐ/六周年記念リクエストSS

小説

急に冬らしくなり、セーターを着る日々が続いていますが、皆様からだの調子はどうでしょうか?
いやぁ、私はもう首にタオル巻いて寝てますよ。
喉が弱いので、直ぐに風邪を引いてしまうんですよ。喉を潰すようなものをねぇぇぇぇ!
そんなこんなで、季節はずれな六周年記念リクエストになりますが、漸く書き上げましたので、どうぞ!




 『おいちゃんと一緒』

 粟楠会の幹部である片目の男は、非常に不機嫌だった。
 端から見るとそうでるとはわからない笑い顔だが、彼をよく知る四木や幹部たちなどは、近づいてこない。
 なにがそんなに気に食わないかというと、彼が密かに援助している――この場合の援助とは、エンコーとか売春とかそういうイカガワシイことではなく、本人は至って「あしながおじさん」のつもりであるからして、決してふざけて「パパァ?」などと言ってはならない。純粋に好きだった女性の孤児を援助しているのである――少女と、最近なかなか都合がつかないのだ。
 前は週に一度という頻度であっていたのだから、「それは多すぎですよぉ」と言われるくらい。だが、今では月に一度あればよい方で、ここ三ヶ月は陰ながら危機を回避したり、もしくは朝の挨拶で終わりだ。
「おいちゃんは、枯れているとはいえ、清く正しい男女交際みたいなつきあいは物足りねぇんだぞ」
「その言い方はやめませんか。誤解を受けますよ。あんた、前に『あしながおじさんだっ!』と主張していたじゃないですか。それじゃぁ、若い愛人に逃げられた寂しいおっさんですよ」
「……ってめぇ……四木っ!」
 常に持ち歩く杖を構えて本気で襲いかかろうとしているが、この男の「フリ」であることを知っている四木と呼ばれた男は、どこ吹く風――である。
「朝と夕方の挨拶だけじゃ、寂しいって。……組長も将来茜ちゃんを相手に、こういう気持ちを持つのかねぇ」
「それ、あの方に言わない方がよいですよ」
「言うか、バカっ!……娘なんて持つと、男親は切ないねぇ」
「…………あの子、本当は、あんたの子なんじゃないでしょうね、赤林さん?」
 かなりの執着を見せる少女への感情が、本物の父親のそれのような気がして、四木はいぶかしむ。
「まさか、そんなんじゃありませんよ」
 ――そうだったら、よかったんですけどね。
 心中で男――赤林が吐露したことは、恐らく本音だ。
決して決めた情人を作らなかった赤林が、心の底から求めた女性が、杏里という少女の母親だった。父親になることも厭わないと考えていたが、娘一人が残された一家惨殺事件によって、それも叶わなくなった。
 赤林は、自分を彼女の「あしながおじさん」として接することだけを、亡き女性との縁にしていた。
 ――まぁ、原作の「あしながおじさん」通りにしたら、おいちゃんロリコンって言われるからねぇ。
 原作の「あしながおじさん」は、ラストに援助者である「あしながおじさん」と主人公・ジュディ・アボットの婚姻が成立するのである。閑話休題。

「あれ……あれは、杏里ちゃんじゃないんですか」
 四木の言葉に物思いから立ち直ると、すぐに赤林は身だしなみを整え、席をたつ。
 ちらりと赤林を見て、四木が呟く。
「そう言うところが、『若い愛人』じゃないかと言われるんですよ」
 苦笑を込めたその呟きは、赤林に聞こえることは無かった。

***

「こんにちは、赤林さん。……あの、よろしかったんですか?」
 杏里は、打ち合わせ中だったと思われる喫茶店からでてきた赤林に恐縮し、店の中にいる四木に向かって会釈する。
 ひらひらと手を振っている四木を見咎めた赤林は、四木に向かって「シッシッ!」と野良犬を追いやるみたいに手を振る。
 クスクス笑う杏里に、頭を一つ掻くと、
「こんな時間にどうしたんだい?」
 と訪ねた。
 学生が出てくるには少々早いお昼の十二時すぎ。学校はどうしたのかと訪ねると、おかしそうに笑う。
「今日は午前でおしまいなんですよ」
「へぇ、そんなこともあるのかぃ」
 ゆとり教育がどうのこうのという反動で、今じゃ中高生のカリキュラムはぎっちぎちと聞くのに、そんな「ゆとり」が良くある物だと臭わすと、「文化祭が終わったんですよ」と今日は、片づけだけなのだとの説明に、そんなものかと納得する。
 そして、何かを言おうかどうかともじもじしている杏里に、不思議に思って話を促すと、嬉しいことを言ってくれるのだ。
「あ、あの……この間のハロウィンは私の都合でご一緒できなかったので、よろしかったら今日……」
 そこから先は言わせずに、赤林は笑い顔と言われる顔を、正真正銘の「笑顔」にして杏里を誘った。
「杏里ちゃん、よかったらおじさんと一緒にお昼はどうかな」
 杏里のはにかんだ笑顔に、彼は酷く安心したのであった。

 高校生の少女が入るには少し高級そうな店でのランチであったが、杏里は少し目を見張っただけで、店の雰囲気におじけることなく食事を楽しんでいる。
 前菜からパスタ、メインは魚料理を選ぶ。肉料理は女の子にはちょっと重いだろうという、オジサマの配慮だ。
 煌びやかな世界に興味がないというわけでは無いだろうに、その品の良さは、『今時の若者』という揶揄からは想像できない。
 あまり笑わない印象だった少女も、二人の友人――金髪のチャラ男と中肉中背の普通青年――のおかげで、会話の端々に笑顔を見せるようになった。
 ――これが、おいちゃんのおかげとかなら、嬉いんだけどねぇ。
 自分の心中など欠片も臭わせず、赤林は楽しい会食を続ける。
「ああ、杏里ちゃん。ここのデザートはとても美味しいんだよ。パリ帰りのパティシエがいて……」
 続けられようとした台詞は、しかし遮られる――。

『杏里ぃぃ!?』
 
 素っ頓狂な声がくぐもって聞こえた。
 店の外から、窓の向こうから聞こえてきたのだ。
 杏里をこのように呼び捨て、なおかつ呼ばれた少女が驚きながらも苦笑を滲ませる相手など、赤林は一人しか知らない。
 彼女の友人の片割れである金髪の少年――紀田正臣だ。ということは――もう一方の片割れである短髪黒髪の少年であるエアコンみたいな名前の竜ヶ峰帝人も一緒である。
 親友の暴走を止めようとあがく帝人を引きずりながら、高級そうな店に乗り込んできた正臣に、赤林も苦笑するしかない。
 なぜなら、帝人たちの言いそうなことがあからさまに想像できるからだ。
「折角二人で食事を楽しんでいるのに悪いよっ」
「杏里が、あんなおっさんと二人でいることに危機感は無いのかっ」
「いや……し、親戚のおじさんとの会食だったらどうするんだよっ」
「杏里にちっとも似て無いじゃないか。すべての女性を愛する僕としては、看過できない状況だね」
「いや……でも、僕らこの店で浮いているって」
「なぁに、杏里がいるなら大丈夫だろ」
 と、席に近づくまで漫才のような会話を繰り広げ、周辺のお客も笑いをこらえている。騒がしい客のようでいて、微笑ましいと思われる程度には、彼ら二人は粗相をしていなかったのだ。絶妙といえば絶妙。巧妙と言えば巧妙と言えようか。
「杏里ー?その方はどちら様?あ、僕は杏里の恋人候補の友人で親友の紀田正臣君でっす」
「恋人候補の友人って、ぼ、ぼぼ僕のことぉ?ちょ、正臣ぃぃ」
「そして、こいつが、今一番杏里にホットな彼!竜ヶ峰帝人君でっす」
「やぁ、二人とも。おいちゃんは赤林っていうんだ。下の名前は秘☆密!だよ。杏里ちゃんのお母さんの知り合いなんだ」
 知り合いと言うには思いが込められて、深い関係を伺わせる赤林の言葉に、二人はちゃかしてはいけない雰囲気を察知する。
 正臣と言えば、杏里が粟楠会の幹部である赤林と会話しているのに気をつけるべきだと忠告するために近づいたのだが、出鼻を挫かれた状況だ。思ったよりも、杏里には近しい人で、『ヤクザ者』として認識するよりは、『義父になり損なった人』として情報を認識すべきと判断した。
 ちゃかした雰囲気を潜め、勧められるまま二人で席に座る。
 赤林は少年二人からも杏里の学校での様子や、池袋に住んでまだ一年もたっていないという帝人と会話を楽しんだ。
 正臣としては、『危険な臭い』のする赤林に帝人を近づけるのは得策ではないとして、杏里は気になるがよっぽどしっかりしているからと自分を納得させて、デザートを奢ってもらうと、行きとは別の理由で帝人を引きずって店を出ていった。

「いやぁ、おもしろい二人だねぇ」
 赤林の言葉に、杏里は柔らかに笑う。
「……はい。『私』の大切な友達です」

 親友という言葉や、恋人という特別な言葉は使わなかったが、赤林には特殊な環境におかれた杏里にとっては、最上級の言葉であることを敏感に察した。

***

 店を出て、その後も『デート』を楽しんだ二人は、夕食の時間に分かれた。
 赤林に会食の用事があったのと、女子高生をその筋の人間と夕食まで一緒にとらせることに抵抗があったからだ。
 杏里のほうは気にしている様子は無く、笑いながら去っていった。
「今の今までデートでしたか?」
 背後に車が寄ってきた事は、とっくの昔に気づいていただろうに、粟楠会の赤鬼と呼ばれる男は微塵も動じない。
「……なんだい。若い女の子とデートできない僻みですか、四木さん」
「ノーコメントで」
「えぇ。やっぱりそっちの趣味がっ」
「おふざけはやめましょう。そろそろ我々の時分ですよ」
 車の扉を開いて、中に乗るよう促した四木は、乗り込んできた赤林が『赤鬼』の異名に相応しい目をしている事に気づいた。緩く上がる四木の口角に赤林は気づいたのだが、何も言わずに車窓の向こうを眺める。
 通りの向こうに、角を曲がろうとする一人の少女が見えた。
 つい先ほどまで、彼の心を癒し、満たしていた少女だ。
 そして――なり得なかった、彼の義理の娘。

 彼の掌には、鈍く発光する光がある。
 携帯電話がメールの着信を示していた。それは、粟楠会の幹部である赤林が任されている、とあるネットギャングの情報を探る為に契約している情報源からのメール着信音であり、先ほどであった凡庸な少年と関係があるのだが、今は別の話。
 ちらりと携帯電話に目をやる四木に薄く笑うと、そっと胸元にしまいこむ。

「確かに、オシゴトが待っていますね」

 感傷を瞳の奥に常に湛えながらも、彼は夜の池袋へと向かうのだった。


...and that's all?《それで、おしまい?》

This fanfiction is written by Ryoku.




ということで、大変お待たせいたしました。
丈田さんお持ち帰りくださいませ。もしかしたら、ページ化したときに加筆があるかもしれませんww
京極は無理でしたので、デュラララ!!ですみません。
「杏里と赤林」でやらせていただきました。
「茜と平和島静雄」はまた次の機会を!是非とも!
中々イジリがいのある人たちですから、きっと動いてくれると思います。

赤林さんが出てくると、普通の人間の凄さっていうのを感じますね。
このSSでは分かりませんけどw
普通な人としては、私の好きな帝人様は、随分と非凡なかたですから、「凡庸な」という形容詞が合わないんですが。
ではでは。大変お待たせして申し訳ありませんでした!

Edit Comments(2) trackBack(0) |

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comments

2010/12/16 00:12 [ 編集]
丈田 MAILURL

きゃああ~!!
りょくさん! ありがとうございますーー!
おいちゃん×杏里(*´∀`*) うあああ~。顔が緩みますv
おいちゃんも四木さんもかっこよくて、杏里が可愛いことこの上なく!

あしながおじさん上等ですよーー!! どんとこい!
ずっと会えずにいると不機嫌になっちゃう赤林さんとか…!(じたばた)
杏里の顔を見ただけで和んでしまうおいちゃんを想像したらニヤニヤが止まらず。
杏里がおいちゃんを慕う様も、おいちゃんが杏里を愛しむ様も、何もかもがたまらんです。
読んでいて本当に幸せになりました。疲れも吹っ飛びます。
素敵な話をありがとうございました~!!

えへへv 静茜も楽しみにしています!(*゚∀゚*)キラキラ

2010/12/16 23:18 [ 編集]
りょく@管理人 MAILURL

>丈田さん
お気に召して一安心です(^^)
イレギュラーな二人が、まごつきながらも擬似親子関係を築くのは、どうかなと思いましてやってみました。
四木さんが妙に出刃るは、来良組は揃えたくなるしで、欲張りすぎました(笑)
次回は、茜ちゃんに挑戦したいですね~(^^)

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